薬物療法やインスリン療法をしている方は、時として血糖が下がりすぎることがあるので注意が必要です。特に重症になると意識を失い大変危険な状態になります。
血糖値と低血糖の主な症状の目安
血糖値 | 症状 |
70 | 副交感神経優位で、空腹感、あくび |
50 | 交感神経が優位で、冷や汗、手足の震え、動悸、不安感 |
35 | 取り乱す、眠気、疲労感、めまい、ろれつが回らない、視界が霞む |
20 | 痙攣、意識を失う |
低血糖の原因
●薬やインスリンの量を勝手に増やしてしまったり、量を間違えてしまった
●インスリン注射直後や朝食前に運動した
●前日、当日に不規則な食事をした(食事量が少なかったり、食事の間隔をあけ過ぎた)
●大量のアルコールを摂取した
●いつもより激しい運動を実施した
などが原因で起こるので、このような事態にならにように注意しましょう。
低血糖を繰り返していると、低血糖の症状がでないまま、気づかないうちにかなり血糖が下がっていること(無自覚性低血糖)があり、突然意識障害を起こすこともありますので注意が必要です。
低血糖が起きたときの対処方法
<自分で対処できる場合>
●砂糖を10〜15g口にして、安静にします。通常15分程で症状が改善されます。
※回復しない場合は、さらに砂糖を10〜15g口にして安静にしましょう。
●症状が出たら後回しにせず、直ちに糖分を摂ることが大切です。
●低血糖をいつどこで起こるかわかりません。常に砂糖やブドウ糖を身につけておく必要があります。
●常備するのは、あめや氷砂糖だと時間がかかるので、砂糖やブドウ糖を用意しましょう。
●もし、砂糖などを携帯していない時に症状が出た場合は、市販の甘いジュースを100〜150ml飲みましょう。
●薬物療法で、α-グルコシダーゼ阻害剤を服用しているときに起こった低血糖は、砂糖を服用してもすぐに吸収されないため回復が遅れます。この場合は、ブドウ糖、ブドウ糖キャンディ、ブドウ糖を多く含む清涼飲料水をのむようにします。
<家族や身近な人に対処してもらう場合>
低血糖で意識障害が出た場合、自分では対処ができなくなります。周囲の方に処置をお願いするために、家族や、身近にいる方々に、自分が低血糖になったときの対応を頼んでおくことが大切です。
●糖尿病の患者さんが普段と様子が違って異常を感じた場合は、低血糖を疑ってみることです。
●低血糖を起こしていることがわかったら、少量の水に砂糖を溶かしたものを飲ませてください。
●砂糖水を飲み込めない状態で、昏睡に陥っている場合は、グルカゴン1バイアルの皮下注射が必要です。
●回復しない場合は、速やかに救急車を呼んでください。
●外出先でだれも知っている人がいないときに低血糖で意識障害を起こすこともあります。そのようなシチュエーションに備えて、自分が糖尿病であることや、氏名、自宅、病院の連絡先がわかるようなメモを常に携帯しておくことも必要です。(社)日本糖尿病協会では、専用のIDカードを発行しています。